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権利処理
2021.03.15

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.24

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

 

Q
ロケ地パネル(LJパネル)を設置しました。出演俳優のシーン写真入りのパネルなのですが、設置されたパネルを写真に撮り、市や企業のHPやSNSで発信し、設置をお知らせしたいと思っています。権利上問題になる点はあるのでしょうか。

 

A

田中:ロケ地パネルには、権利処理済みのワンシーン写真が不可欠であり、そのロケ地パネルの設置を紹介する写真なので、当然にロケ地パネルのワンシーン写真が写り込みます。その写真をインターネットにアップロードしても大丈夫かとの質問です。

 

國松:写真の著作権に関していえば、2020年6月に改正された著作権法30条の2、いわゆる「写り込み」に当たるかどうかがポイントになります。今回のケースに関連するのは「分離困難性」という要件が撤廃された点です。つまり、メインとなる被写体を写すときに、常識的に「付随」するような著作物であれば、たとえ物理的には分離が可能でも、著作権者の許諾なく写真に写したり、放送や配信で自由に利用したりすることができるようになりました。

 

田中:改正後の著作権法に照らすと、ロケ地パネルのワンシーン写真が写り込んだ写真をインターネットにアップロードする行為は大丈夫ということになりますか?

 

國松:今回メインの被写体はあくまでもロケ地パネルですから、そのワンシーン写真がロケ地パネルに掲載されている色々な情報や素材の一部、つまり「付随するもの」である限りは、許諾がなくても大丈夫です。反対に、ロケ地パネルといいながら、一枚のワンシーン写真を全面に使っているような場合は、実質的にはそのパネル写真ではなくワンシーン写真の利用といえますから、「付随するもの」とはいえなくなるでしょう。

 

田中:なるほど、「ワンシーン写真そのもの」といった作りのロケ地パネルを写す場合は、原則通り許諾が必要ということになりそうですね。法的には判断が難しいケースもありますから、パネル作成時に、将来のPR利用等も見越して、ワンシーン写真の使用許諾を最初から広くとっておくのも一つの方法です。ロケ地パネルのような案内は、複数の著作物やロゴ、俳優の肖像などが含まれていることが多いです。どのように整理をすればよいか、さらにWeb版で詳しく説明します。

 

=====以下、Web版のみ掲載=====

 

田中:ロケ地パネルで注意しなければならないのはワンシーン写真の著作権のほか、俳優の肖像・パブリシティー権や、商標登録等されている場合のタイトルロゴなどですかね。

 

國松:ロケ地パネルに使われている俳優の肖像や名前には、その俳優さんの肖像・パブリシティー権が発生しています。したがって、その肖像や名前を、作品とは完全に切り離した形で、何か別の商品やサービスに紐づけて無断で使ってしまえば、肖像権・パブリシティー権の侵害になります。本来であれば、当該俳優さんと別途契約を交わして進めるべきことですからね。一方で、あくまでも肖像と作品の紐づけを維持しつつ、作品に関連した事実をPRするような場面であれば、もともと出演契約に含まれる作品のPR協力の範囲といえる場合もあるでしょう。例えば、制作サイドに許可をもらって「この場所は〇〇という作品のロケ地です!」というパネルを作り、そこで俳優さんが映っているワンシーン写真を使用したとします。そのパネルの写真を撮れば、俳優さんの肖像も当然写り込むことになりますが、その写真を、あくまでも「××という場所が〇〇のロケ地になり、そこにはこのようにロケ地パネルが設置されていますよ」という形で各種媒体使用するのであれば、作品自体のPRに繋がるといえる可能性は十分にあります。トラブルを避けるために、最終的にはロケ作品サイドと調整した方がいいとは思いますが、ワンシーン写真を使ったパネルを作ることは許可しているわけですから、こうした利用であればOKは出やすいだろうと思います。

 

田中:なるほど、よく分かりました。作品のロゴタイトルなどはどうですか?ロゴタイトルが商標登録されていたりすると、これが使用されているパネルを、さらに写真に撮って誌面に乗せたり、アップロードすることはNGになるのでしょうか。

 

國松:商標制度は、簡単に言えば、特定の商品やサービスに特定の名称を紐づけ、その紐づけの範囲では、登録者以外の人がその商品名やサービス名を使用することができなくなる、というものです。そして、この紐づけは1類から45類に細かく分類されていて、たとえば、ある「おもちゃ」の名前を商標登録する場合は「28類」を指定して登録します。

 

このとき、他の誰かが28類以外の区分に当てはまる商品やサービスに、そのおもちゃの名前を使用したとしても、商標登録の範囲外の使用ですから、商標権侵害にはならない、という結論になります。また、商標登録されている商品名やサービス名を、単に映像で流したり、写真に写すといった行為は、そもそも他人の商標を自己の商標として使用しているとはいえませんから、基本的に商標権侵害にはなり得ない行為ということになります。

 

田中:そうだとすると、タイトルロゴが商標登録されていたとしても、そのタイトルロゴが表示されているパネルを写真に写して誌面に乗せても、商標権の侵害は問題にならないということですね。

 

國松:そのとおりです。タイトルロゴの商標権侵害が問題になりそうな場面は、たとえばノベルティーグッズなどの区分で商標登録がされている場合に、勝手にタイトルロゴを使って類似商品を販売するような、限定的なケースということになるでしょうね。ただ、法的な問題とビジネス上のマナーや倫理観の問題は別です。法的にはOKでも、番組側の要請や都合を一切無視して続けていると、ロケ先として良好な信頼関係を築けない場所だと判断されてしまうことはあるでしょう。今後のロケ誘致にも悪い影響が出るかも知れません。そこはまさに常識やビジネス感覚の問題ですから、さじ加減は難しいところですよね。

 

田中:そうですね。大体的にロゴまでしっかり使いたいときは、念のため番組側に確認しておくのが、マナーとしては無難かもしれません。ところで、知的財産権(IP)となると確認範囲が広がり、一般の方では判断が難しいので、専門家である弁護士や弁理士さんに相談したいのですが、このようなことも相談できるのでしょうか。

 

國松:弁護士と一言で言ってもそれぞれ得意な分野は違います。特に知的財産の領域は、弁護士の仕事の中でも、やや特殊な分野ですから、誰でもいいというわけではありません。できれば知的財産権に関する知識と経験が豊富な弁護士を探して相談するのがいいでしょう。また、商標登録に関する相談は弁理士さんに依頼する方が確実ですね。

 

田中:作品に関わる法的トラブルは、その作品が大掛かりなものになればなるほど、メディアなどに大きく取り上げられるおそれがあります。そうなれば、作品自体はもちろん、制作者やロケ地の評判にも影響が出てくるでしょう。こうしたリスクのことを考えると、ロケ地として色々なことにチャレンジしたい場合は、きちと専門家に相談しながら進めた方がよさそうですね。

 

 

「写り込み」の範囲が拡大

 

○写真を撮影したところ、本来意図した撮影対象だけでなく、背景に小さくポスターや絵画が写り込む場合

 

○街角の風景をビデオ収録したところ、本来意図した収録対象だけでなく、ポスター、絵画や街中で流れていた音楽がたまたま録り込まれる場合

 

○絵画が背景に小さく写り込んだ写真を、ブログに掲載する場合

 

○ポスター、絵画や街中で流れていた音楽がたまたま録り込まれた映像を、放送やインターネット送信する場合

 

 

でも「写し込み」はNG

 

○本来の撮影対象として、ポスターや絵画を撮影した写真を、ブログに掲載する場合

 

○テレビドラマのセットとして、重要なシーンで視聴者に積極的に見せる意図をもって絵画を設置し、これをビデオ収録した映像を、放送やインターネット送信する場合

 

○漫画のキャラクターの顧客吸引力を利用する態様で、写真の本来の撮影対象に付随して漫画のキャラクターが写り込んでいる写真をステッカー等として販売する場合

 

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/utsurikomi.html

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

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