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権利処理
2022.01.15

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.28

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

Q

ロケ地マップを作成する時に出演者のワンシーン写真を入手できなかったので、代わりにイラストで対応したいのですが大丈夫でしょうか。

 

A

デッドコピーとならないように、イラストはデフォルメしましょう。

 

田中:テレビ番組や雑誌で,俳優や著名人のイラストが使われていますが、イラストだったら著作権や肖像権などは問題ないのでしょうか。

 

國松:まず写真についてですが,元となる写真が著作物であり、忠実に再現したような写実性の高いイラストは「複製」や「翻案」に当たる可能性が高いでしょう。よって、写真の権利者の許諾が必要です。一方,配色や構図等に相当程度のアレンジを加えたイラストにするような場合は、「翻案」にすら当たらないと判断した裁判例もあります。この場合は許諾が不要ということになりますね。

 

田中:ある程度デフォルメされているイラストについて、元写真の「本質的特徴の直接感得性」がないと判断した事例ですね。では、俳優や著名人の肖像権やパブリシティ権についてはかがでしょうか。

 

國松:俳優や著名人の肖像をそっくりに描いたイラストに関しては,肖像権等の侵害がダイレクトに問題になります。一方,先の著作権の話と同じように,ある程度デフォルメしてキャラクターっぽいイラストにするなどすれば,直ちに肖像権やパブリシティ権の侵害にはなりにくいだろうと思います。もっとも,こうしたイラストでも,明らかに当該俳優や著名人だと分かる形で,その顧客吸引力を利用する目的のもと広告等に使用する場合は,パブリシティ権の侵害だと判断される可能性は高いでしょう。

 

田中:分かりました。ところで,そもそもイラストの参考にした写真自体が著作物に当たらない場合は,イラストにしても写真の著作権侵害は問題にならないということですね。

 

國松:そうですね。著作物性のない写真については,少なくとも当該写真自体の著作権侵害は問題になりません。著作物性の有無はケースバイケースで判断するしかないのですが,例えば,ある絵画を平面的な画角で単純に接写しただけのような場合,その写真には著作物性が認められないと判断した裁判例があります。

 

田中:写真として著作物といえる創作性がどれほどあったかという判断だと思いますが,その判断は難しいので、デッドコピーしないようにすることですね。イラストによるパブリシティ権や肖像権の取扱いや実務的運用のポイントについては,Web版で詳しく説明します。

 

=====以下、Web版のみ掲載=====

 

田中:合法的なイラストでも、俳優や著名人の顧客吸引力を利用しているようなケースでは、パブリシティ権の侵害だと判断される可能性が高いですか。

 

國松:はい、著作権の問題とパブリシティ権、肖像権の問題とは別物です。デフォルメしたキャラクターであっても、俳優や著名人であることが特定できる場合や芸名や氏名を記載して、その顧客吸引力を使う場合にはパブリシティ権、肖像権の侵害として訴えられることがあります。

 

田中:出演している俳優や著名人の写真を使わないで、デフォルメしたイラストで紹介をする程度であればいいのですが、それ以外の目的では使用できないということですね。

 

國松:本来であれば、正式に写真借用の手続きをして利用すべきですが、やむを得ない場合にはイラストで紹介をするという程度で考えてください。

 

田中:確かに、過ぎたるは及ばざるが如しで、イラスト化された当人が不利益にならない範囲でのイラスト使用を心がけたいですね。(以上)

※北海道大学 情報政策学センター「知的財産法政策学研究」第60号 pp.227-260
判例研究「写真を参考にしたイラストによる著作権侵害が否定された事例」を参照
https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/sites/6/2021/09/096165a7406ab415defc9185bed40ded.pdf

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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