LJ特派員★伊庭野はるかのバルセロナ日記
「バルセロナが厳かな音色と歌声に包まれる セマナ・サンタ(聖週間)」
3月の最終週は、キリスト教の重要な宗教行事「セマナ・サンタ」(聖週間)です。
カラフルな卵の飾りやヒヨコの形のチョコレートなどが出回る「イースター」のお祭りは、日本でも有名ですね。
このイースターの日はキリストが復活した日とされていて、「春分の日の後の満月から数えて最初の日曜日」と定められているので、毎年日付が変わるそうなんです。
スペインの「セマナ・サンタ」は、キリストがエルサレムに到着してから最後の晩餐、処刑、さらにその3日後に復活する日曜日(復活祭、イースター)までを1週間かけて再現する、厳かな宗教行事なんです。
地域差はありますが、月曜日から金曜日まで、毎夜「プロセシオン・聖行列(procesion)」と呼ばれる行進が行われ、「キリストの受難」をモチーフにして作られた「パソ」という山車を引いて町中を練り歩き、街の人々が祈りを捧げます。
去年のセマナ・サンタは、宗教行事の盛んなアンダルシアのロンダでロケ地観光をしつつ、厳かな行列を見てきました。
さて、今年の3月最後の日曜は、そのセマナ・サンタの最初の日である「枝の主日」(ドミンゴ・デ・ラモス)でした。
この日はキリストがロバに跨ってエルサレムの町に入ったといわれる日。群衆は椰子の枝を手に歓迎したことにちなみ、椰子の枝の飾りを手に集まります。
観光の目抜き通り、ランブラスから一本入ったところにある教会の前で待っていると…
ロバに乗ったキリストの像が、金管楽器隊の音楽とともに出てきました。
皆、椰子の枝を掲げて祝っています。
そして金曜日。この日は聖金曜日といって、キリストが磔になって亡くなった日とされています。
バルセロナでは、夕方5時ごろから宗教行列が行われると聞き、旧市街へやってきました。
大聖堂には、すでに多くの人だかりが。
教会の前で待っていると、もの悲しい金管楽器の音色が響き始めました。ナサレノと呼ばれる尖った帽子を被った信徒の先導で、黒い十字架を抱えるキリスト
像が出てきました。
こちらは「希望の聖母のパソ(山車)」です。
いくつかの教会からパソ(山車)が出され、街を廻ります。
すると、群衆のなかから悲しげな旋律を歌う声が響きはじめました。すると行列もピタッと止まり、群衆も皆その歌声を聴いています。
歌が終わると、皆の歓声が轟き、その空間に一体感が生まれていました。これは「サエタ」と呼ばれる歌で、セマナ・サンタのときに歌われる歌だそうです。現代ではこれを歌える人は少なくなってきているそうで、とても貴重な場面に出くわすことができました。
夜には、それぞれの行列が大聖堂に集まります。セマナ・サンタ休暇でバルセロナを訪れている観光客もたくさん集まり、すごい人込みです。
これは、行列が終わって教会に戻っていくパソ。血を流すキリストの像です。
そしてセマナ・サンタの最後の日、日曜の復活祭。
世界中で、ゆで卵の入ったパンを食べたり、子羊を食べたり、宗派や地域性によって異なる方法でお祝いをします。
カタルーニャでは、この翌日の月曜も祝日になっていて、モナ・デ・パスクア(Mona de pascua)というチョコレートやケーキを食べる習慣があります。
街のケーキ屋さんでは、このお菓子がたくさん売られていて、ショーウインドウはとても華やかにデコレーションされています。
こちらが、そのケーキ。
バルセロナではスペインの内陸部や南部に比べてあまり盛んではないと言われるセマナ・サンタですが、1週間にわたる厳かな宗教行事を見られたことはとても貴重な体験でした。これからいよいよ初夏の暖かな気候になり、バルセロナらしい眩しい季節がやってきます!