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■俳優インタビュー

重岡大毅映画『ある閉ざされた雪の山荘で』

異色であることを武器に。 自分と重なった主人公の立場

WEST.のメンバーとして活躍する一方、俳優としてのキャリアを着々と積み上げている重岡大毅さん。

現在、初の単独主演映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が絶賛公開中です。

そんな重岡さんが、役作りやロケの様子を語ってくれました!

 

台本を読みながら 先が気になって

現れただけで、その場の空気を明るく変える人がいる。重岡大毅さんがその人だ。

WEST.のメンバーとして、コンサートやバラエティー番組でその天真爛漫さをフルに発揮、大活躍しているのはご存じの通り。しかし、ここ数年、俳優としての活躍にも目覚ましいものがある。

ドラマだけを見ても、『#家族募集します』(2021)で悲しみを抱えながら子どもに惜しみない愛を注ぐシングルファーザーを愛情たっぷりに演じたと思えば、『雪女と蟹を食う』(22)では、人生に絶望し自殺を考える男を弱さや葛藤も含め繊細かつ大胆に体現して見せた。直近では、男女の四角関係を描く『単身花日』(23)で、妻と初恋の女性との間で揺れ動くサラリーマンを、時に色気を漂わせながら演じている。

そして、年明け早々、初の単独主演映画『ある閉ざされた雪の山荘で』だ。

原作は東野圭吾による同名のミステリー小説。「脚本を読んでいるときは、ほんまに小説を読んでいるような感覚でした。『え、なんじゃこれ!?』『この先どうなんの!?』って」。重岡さんは、作品に触れた際の印象を、このように前のめり気味に振り返る。

 

全員役者で全員容疑者 こりゃみんなだまされる

重岡さんの語る通り、物語は実にスリリングだ。舞台はとある別荘。新作舞台の最終オーディションとして招集された7人の役者たちは、4日間の合宿で”ある閉ざされた雪の山荘で起こる連続殺人事件”という設定での演技を課せられる。しかし、なぜか一人、また一人をメンバーたちが姿を消していく。しかも一人は血痕を残して……。

この小説が発表されたのは1992年。架空の密室に仕掛けられた幾重ものトリックが、ミステリーファンの間で高い評価を得た。その一方で、映像化は困難とされてきたのは、トリックや人物の描き方の複雑さゆえ。それを映画『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』(12)以来、さまざまなジャンルの話題作を世に送り出してきた飯塚健監督が、ついに実写化した。

「台本を読み終わった時は、こりゃみんなだまされるだろなと、ワクワクしました」と重岡さんはニヤリ。

しかし演じる大変さは相当なもの。何せ”殺人”が演出なのか、現実の事件なのか、面々の間に芽生えたこれらの疑心暗鬼が、時間の経過とともに膨らんでいく物語だ。7人の中に”演じている演技”をしている人間が混じっているかもしれないわけで、謎解きを楽しんでもらうためには、観客には全員が容疑者に見えなくてはいけない。しかも互いの関係性や時間の経緯も踏まえながら演技をする必要がある。

 

芝居は生き様 今までの頑張りが出る

一人だけ異端である立場の主人公に自分自身を重ねられたことも、役作りの手掛かりになったという。

「本業の役者さんばかりの撮影現場で、普段、アイドルをしている僕は、いわば、外部の人間として闘わなければいけない。そういう意味で久我との立場で似ているところはあったと思います」と語る重岡さん。その上で、「役者一本でやっている人たちに対してリスペクトも憧れもある。自分のことも好きで、これまでずっとステージで情熱をぶつけてお客さんの心を動かしてきたことに矜持もある。むしろ役者本業でないことを楽しんで、武器としてそれを芝居の現場に持ち込んでやろうという気持ちもありました」ときっぱり。

こう真剣な眼差しで語ったかと思うと、「だって人間、自分を特別だと思いたいじゃないですか。そうでもしないとやってられないですよ」と笑い飛ばすのもまた重岡さんらしいところ。しかし、照れ隠しの後に続けた「芝居には今までどれだけ頑張ってきたかが出る。芝居は生き様やと思ってます」の言葉にこそ、確かな本気を見て取るべきだろう。

 

より詳細な内容は本誌でお楽しみください。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロケーションジャパン121号 (発売日2024年1月15日)

 

 

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