藤ヶ谷太輔映画『傲慢と善良』
架を演じる上では 優しさと鈍感さを意識して
「いちばん好きな本」と自身が語ってきた小説が映画の原作に。
架(かける)をどう演じていったのか。演技に影響を与えるロケーションとは?
本作への思いとともに聞いた。
2011年にKis-My-Ft2(通称:キスマイ)のメンバーとしてデビューして以来、常に第一線での活躍を続ける藤ヶ谷太輔さん。
キスマイとしてのグループ人気はもちろんのこと、俳優として数々のドラマや映画に主演する他、2020年からトーク番組『A-Studio+』(TBS系)で、笑福亭鶴瓶さんと共にメインMCを務めるなど個人の活躍も目覚ましい。
そんな藤ヶ谷さんがかねてより「人生でいちばん好きな小説」として、度々名前を挙げていた『傲慢と善良』(著・辻村深月)が映画化に。主人公・西澤架(かける)を演じるにあたり、「初めて自分から動きました」と熱く語ってくれた。
人生に必要なことが
散りばめられている原作
2019年の原作発売当初、偶然本屋で「ジャケ買い」をしたという藤ヶ谷さん。普段は活字を読むのが決して速い方ではないという彼が、一気に読み進め作品の虜になったという。
「一言で言うと“すごい本を読んだな”という感想。恋愛だけじゃなく、ミステリー要素もあるし、家族間の話、都市と地方の価値観の違い……あとは僕の周りでは男女で全然受け取り方が違うところも面白いなと思います」
かっこつけキャラを
意識していたかも
本作はマッチングアプリで出会った2人の男女=架(藤ヶ谷)と真実(奈緒)、それぞれの視点で描かれる物語。架は都会でスマートに生きる好青年だが、無意識に真実に点数をつけてしまうという傲慢さも。
「僕も24歳でデビューして以来、周りから“あなたはこうしていた方がいい”と言われることが多くて、それを自然と受け入れていた時期がありました。仕事柄、周囲との釣り合いやバランスを考えてしまうところもあって。ただ僕が架に共感したのは“僕も人に点数をつけるタイプです”ということでは決してなく、30歳を過ぎるまで、かっこつけのキャラを意識していたところなのかもしれません。デビュー当時の僕の気持ちを見事に言語化してくれた小説だったからこそ、こんなに刺さったのかなと思います」
約1週間滞在した佐賀で
食も出会いも満喫!
クラフトビールの会社を営み、ロレックスをサラリと身に付け、当然のようにベンツのゲレンデに乗る架が暮らすのは都心部。ロケ地も表参道、中目黒などのおしゃれスポットがメインとなり、スタイリッシュな藤ヶ谷さんのイメージにはピッタリ。だが後半、真実と再会する地は風光明媚な佐賀県のロケーションだ。
「実際の撮影もちょっと期間が空いてから、僕は佐賀入りしたんです。架なりにビシッとおしゃれをしているんですが、当然俳優さんたちも農業をする格好だし、スタッフさんもずっと連泊しているからか、なんとなくよそよそしくて(笑)。でもその感じが、いきなり東京からやって来た架の違和感とリンクしていてよかったなと思います」
佐賀には約1週間滞在。夕方には終了する撮影スケジュールだったこともあり、「めちゃくちゃ楽しかったです!」と笑顔。
より詳細な内容は本誌でお楽しみください。
ロケーションジャパン125号 (発売日2024年9月13日)