比嘉愛未 映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』
舞台は三重県の伊勢志摩 ©2022「法定相続人」製作委員会
三重県伊勢志摩を舞台に、成年後見人制度の問題から家族と向き合う姿を描いた映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』。母を亡くした大亀家の三女・遥海(比嘉愛未)、成年後見人の弁護士・龍之介(三浦翔平)、真珠職人である遥海の父・仙太郎(三浦友和)らが、大亀家の財産である時価6億円の「伝説の真珠」を巡る騒動の中で、それぞれの「家族」に向き合う物語だ。
ロケーションジャパンでは遥海を演じる比嘉愛未に作品への思いやロケの裏話を聞いた。
――今回オファーをいただいたときの気持ちを教えてください。
比嘉:脚本家の小松江里子さんとは朝ドラ『どんど晴れ』から縁があり、16年のお付き合いになります。当時、小松さんは母のような姉のような母性をもっておられる方で、ずっと私のことを気にかけてくれていました。なので今回のオファーは、ぜひという思いでしたが、この作品でちゃんと恩返しできるかという不安やプレッシャーもありました。
――脚本を読んだ時の印象はどうでしたか。
比嘉:本作は成年後見人制度を題材とした、「遺産相続」と「親子関係」の二つが大きなテーマの作品です。これだけ聞くと重い話かと思ってしまいますが、田中監督と小松さんの力で、ユーモラスな部分も交えつつメッセージ性がある内容になっていました。撮影が始まると、伊勢志摩の自然が調和し不思議なバランスでまとまっていると感じました。
――田中監督とはずっとご一緒したかったとのことですが、現場はいかがでしたか?
比嘉:最高でしたね。田中監督とよくお仕事されている小松さんから「一度お仕事したらまた必ずご一緒したいと思う方」と聞いていましたが、まさにその通りで。繊細ながらにとても深い愛情を持っていらっしゃる方でした。その人の特徴を見て、相手をちゃんと尊重しながら一緒に作品を作っていこうという意識を強く感じました。
遥海の父・仙太郎を三浦友和、亡くなった母・満代を石野真子が演じる
――遥海という役に対して、どのように役柄をとらえていましたか。
比嘉:親に対して反発することはもちろん私もありましたからね。遥海を演じているときは、過去の自分に戻っている感じで苦しかったです。親や子供に対して思いを持っている方には、この作品が前へ踏み出すきっかけになればいいなと思います。
――遥海を演じる際に意識したポイントはありますか。
比嘉:親子関係は友好的な時もあれば、ぶつかってしまうこともあります。親としても子としても多くの人が経験してきたことなので、心の傷やトラウマを負っている人もいるかもしれません。そんな自分を許してあげる、そこからまた違う人生も作り出せるということを、主人公二人を通して表現したいと思いました。
――比嘉さんの中で一番印象的だったシーンはどこでしょうか。
比嘉:父・仙太郎(三浦友和)の本心を知り、本当の意味で遥海が心のブロックを解くというシーンです。撮影後、感情が高ぶり震えていた私の手を、友和さんがギュッっと温かく大きな手で握ってくれました。私としては「よくやった」って言ってくださったのかなと感じています。
自然豊かなロケーションで撮影
――伊勢志摩での撮影はどうでしたか?
比嘉:地元の方にご協力いただき、温かい雰囲気の中で撮影できました。伊勢志摩は奥の方に島が連なっていて、森、山、海からなる景色が素晴らしかったです。地元の漁師さんから脱皮したての伊勢エビをたくさんいただき、とてもおいしかったのを覚えています。
――他の作品でも様々なところでロケを実施されていると思いますが、ロケ地が演技に与える影響は大きいですか?
比嘉:もちろんです。風、空気、匂いなど、五感でその土地を感じることは大切であると共にロケの醍醐味だと思います。個人的にその土地の文化を学ぶのはとても好きなので、撮影で地方に行くときは、周辺を走ったりしています。今回もカキやウナギなどおいしいものをたくさん堪能したので、毎朝ダイエットを兼ねて走っていました(笑)
――最後にこれから映画を観る方へメッセージをお願いします。
比嘉:この作品は「遺産相続」「親子関係」「家族」というテーマをシリアスに、ときにユーモラスに描いています。伊勢志摩の美しい自然の中で、心の傷を抱えた主人公たちがどう自分の人生を切り開いていくのか、私自身が演じていて救われた部分もあります。親子関係に向き合う勇気になる、背中を押してくれるような作品なので、多くの人に共感してもらえるのではないかと思います。
映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』
2023 年10月6日(金)全国ロードショー
【出演】
比嘉愛未 三浦翔平
浅利陽介 小手伸也 山崎静代(南海キャンディーズ) 松岡依都美 田中要次/石野真子/三浦友和
【監督】田中光敏
【脚本】小松江里子
【配給】イオンエンターテイメント、ギグリーボックス
©2022「法定相続人」製作委員会