ドラマ解説者ならではの鑑賞ポイントで観る、
読者の属性にマッチングする、おすすめのドラマ3作品とそのポイントを解説。
このコラムをきっかけに、運命の「推し」ドラマに出会えるかも。
今号のテーマ:2023年、面白かった深夜ドラマ3選
1作目:ドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』(1月期)
「男性の妊娠」を描いた社会派ファンタジー
今回のテーマは、「今年面白かった深夜ドラマ3選」。ゴールデン・プライム帯ではないため注目度は高くなかったものの、見どころ十分だった深夜ドラマを各クールから1作ずつピックアップしていく。
1月期から選んだのは、『ヒヤマケンタロウの妊娠』(テレビ東京系)。昨年Netflixで先行配信され、「男性も妊娠するようになった」という世界を描く社会派ファンタジーとして主にドラマ通から称賛を集めていた。
公私ともに順風満帆なエリート広告マン・桧山健太郎(斎藤工)は予期せぬ妊娠に戸惑う。仕事への影響や世間の冷たい目に気づかされ、出産に対するパートナー・瀬戸亜季(上野樹里)との意識の差にいら立つ日々。しかし、健太郎は逆に妊夫であることを生かす形で道を切り拓き、一躍時の人となっていく・・・。
男女逆転させたことで妊娠・出産の難しさや偏見が際立ち、年齢性別を問わず「もし自分だったら」と想像させられる。さらに妊夫仲間や、死んだと思っていた父親との出会いを経て迎える出産は感動必至。第1話から最終話までさまざまなメッセージが散りばめられ、身近な人と語りたくなる作品に仕上がった。
ゴールデン・プライム帯のファンタジー作はシンプルな「タイムリープ」「入れ替わり」「幽霊」ばかりなだけに、「男性の妊娠」という思い切った設定に引きつけられる。シュールなコメディながら社会批評の要素も濃く、たとえばTBSの日曜劇場やフジの月9で放送されていたらかなりの話題作になったのではないか。
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ほか2作品の「推し」ドラマは、ロケーションジャパン117号(2023年5月15日発売号)で紹介しています。
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