教えて、先輩!
塚本晋也監督映画『ほかげ』
女優・監督として精力的に活動し、若い人から支持されている辻凪子が、LJ読者の代弁者として映像業界の名だたる先輩方にインタビュー!作品への質問をきっかけに、映像業界、そしてこの世界を生き抜くためのヒントを探っていく。今回のゲストは、多くのクリエイターに影響を与えてきた塚本晋也監督。大きな話題を集めた『野火』『斬、』の流れを汲んだ最新作『ほかげ』の制作秘話はもちろん、映画人としてのこだわりも語ってくれた。
不穏な時代への危機感と映画に込めた平和の祈り
辻「私はこれまで戦争を過去のものと捉えていて、それを描いた映画やドラマに対しても同じ思いを抱いていました。でも塚本さんの『ほかげ』を拝見して、今も戦争にトラウマを抱えている方や心の傷が癒えていない方がいると知り、過去の出来事ではないのだと思いました。塚本さんが戦争と人間をテーマにした作品を作り続けられている理由を教えてください」
塚本「『野火』に関しては、日本が戦争に近づいているという危機感を抱いたことがきっかけでした。『斬、』は時代劇ですが、江戸時代の終末期は今と似ているように思ったので、映画を通して時代の不安感を描けるのではと思いました。今回の『ほかげ』は、準備を進めているうちにウクライナの戦争が始まりました。日本人は戦争を他人事だと思っている人が多いと思いますが、実はそうではないと。その危機感を含め、そういったことが近づきませんようにという祈りを込めて¨終戦企画¨ということにしました」
–続きはロケーションジャパン2023年11月号で–
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映画『ほかげ』
最新作 映画『ほかげ』
半焼けになった居酒屋で一人暮らしをしている女は、体を売ることを斡旋され、戦争の絶望から抜け出せずにいた。その店に空襲で家族を亡くした戦争孤児と、復員して間もない若い兵士が入り浸るようになり、3人は家族のような関係になっていくが、その生活は長くは続かなかった・・・。
11月25日(土)公開
監督・脚本・撮影・編集・製作:塚本晋也
出演:趣里、森山未來 ほか
配給:新日本映画社