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2020.01.23

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.17

権利処理アイキャッチ

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

 

Q
【愛知県幸田町の事例から】
わが町で撮影された映画のポスターを映画公開終了後も市内に掲示したいと映画配給会社に打診したところ、「掲示期間は公開前のプロモーション期間から公開終了タイミングまで」と言われました。映画のポスターの利用可能期間は厳密に決まっているのでしょうか?また、その約束を破ることは法律的に問題がありますか?(自治体・ロケ受け入れ担当)

 

 

 

A
田中:先ず、映画のポスターが著作物だとすると無断掲示に問題はありますか。

 

國松:著作物のうち,「展示」に許諾が必要なのは,「未発行の写真」又は「美術の著作物」の原作品(オリジナル)だけです。ポスター自体は通常どちらにも当たりません。ポスターに使用されている写真も既に宣伝のために公開された後と思われます。したがって,いずれも単に掲示するだけで著作権侵害は生じないでしょう。

 

田中:そうすると,単純に配給会社との約束(契約)によるということになりますね。宣伝用のポスターに使われている俳優の肖像は宣伝の範囲内でしか利用できない契約になっているはずです。配給会社は,それらが使用されたポスターを配布先で勝手に使われないよう「貸与」したものと考えるのが自然なように思います。

 

國松:そうですね。俳優サイドとの契約のことを考えれば,無条件で贈与というのは考えにくいです。なので,契約条件を破れば,即時返却や回収費用の請求を受けるおそれがあります。

 

田中:やはり無断掲示はNGということですね。ところで,貸与品ということは返却が必須でしょうか。例えば,レコード会社が新曲の宣伝目的で関係者に配布するCDには「貸与品」との表記があったりしますが、実際に返却するケースは稀ですよね。

 

國松:無償で人に物を貸す約束を「使用貸借契約」といいますが,返却日時をはっきりさせないで,「返せと言われたら返す」という条件でも構いません。販促CDやポスターはそういう貸与品だということでしょう。

 

田中:「貸与」されたポスターの掲示には、提供者との事前の取り決めが大事です。ロケツーリズム協議会の「三種の神器」※を使って,①掲示目的②掲示場所③掲示方法④掲示延長期間を予め決めておくようにしましょう。

 

田中:約束した映画のポスターの利用可能期間以外に,これらを掲示できる方法が他にないか考えてみましょう。例えば,ポスターに俳優さんのサインをもらったりすることで、ポスターの性質を変えることが出来ないでしょうか。撮影の記念品にしたいと申し出て出演俳優や監督のサインをポスターに書いてもらえれば,「サインのあるポスター」という,いわば記念品として飾る,ということもできるように思うのですが,いかがでしょうか。

 

國松:おもしろい発想ですね。さすがです。確かに,景観として飾っておくような例えばトロフィーや記念写真といった物の性格に近づければ,そうした形での掲示は可能かもしれません。「撮影の記念品として飾りたいので,お願いします」としっかり言っておけば,貸与品という販促物から,「サイン入りポスター」という一品ものの記念品として譲り受けた(もらった),という説明も合理的なように思います。

 

田中:あとは,身もふたもないことではありますが,仮に利用期間を超えてポスターを掲示していたとしても,それをわざわざコストをかけてまで回収しに来るだろうか,という考え方も,あながち外れてはいません。しかし,たとえ現実がそうであったとしても,こうした考えは,ロケ地としてのモラルを問われるように思います。吹き曝しのまま,いつまでも色あせたポスターを商店街などに貼りっぱなしにしているロケ地は、とても俳優や作品を大切にしているとは思えません。実際に、それを知った俳優の所属事務所から映画会社に回収の要請が来ることもあります。注意してください。

 

國松:ロケーション先から,例えば近隣の店舗などにこうした販促用のポスターが配布されることがありますが,それも基本的には貸与品の貸与品,つまり「また貸し」でしかありません。ロケーション先はポスターの所有権者ではないからです。したがって,利用可能期間を超えた掲示は,ロケーション先との無用なトラブルを起こしかねません。掲示を続けたいのであれば,ロケーション先を通じて配給会社などに確認をとってもらうように心がけてください。ちなみに,個人的に自宅の壁に貼るなどの行為は,合理的に考えて,それが配給会社との「掲示をしない」という約束に違反したとはならないでしょう。あくまでも「販促物」として人の目に触れる期間を制限するための約束事ですからね。

 

田中:ロケーション先と,そこから配布を受けた人たちの間で無用なトラブルを避けるために,ロケーション先の事務局は,例えばポスターの裏にでも掲示期間と貸与品であることなどを記載して、それに合意した先に配布するなどの工夫をしましょう。

 

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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