ドラマ解説者ならではの鑑賞ポイントで観る、
読者の属性にマッチングする、おすすめのドラマ3作品とそのポイントを解説。
このコラムをきっかけに、運命の「推し」ドラマに出会えるかも。
今回のテーマ:朝ドラ以上にほっこりできる夜ドラ
1作目:ドラマ『あなたのブツが、ここに』(2022年8月)
母娘の厳しく温かい物語
今回のテーマは、「NHK夜ドラのおすすめ3選」。夜の帯ドラマ枠として昨春にスタートしてからすでに15作が放送され、ジワジワとファン層を広げている。ここでは若年層がターゲットながら大人層にも見応えのある3作をピックアップしていく。
1作目は「朝ドラより朝ドラらしい」と言われ、『夜ドラ』の認知度を一気に上げた『あなたのブツが、ここに』(2022年8月~9月)。
キャバクラ嬢のシングルマザー・山崎亜子(仁村紗和)がコロナ禍で職を失い、さらに給付金詐欺に逢い、宅配ドライバーに転身。さまざまな困難を乗り越えようと奮闘していく・・・。苦しい時代を前向きに生き抜くヒューマンドラマである。
視聴者から絶賛を受けたのが、亜子を演じる仁村の演技。すべてがうまくいかない日々の中でも踏ん張って自分を見失わず、徐々に同僚や配送客の信頼を得ていく姿に「勇気づけられる」などの声が飛び交っていた。
さらに亜子の一人娘で小学5年生の咲妃(毎田暖乃)と、お好み焼き店を営む母・美里(キムラ緑子)との3世代家族も、視聴者を引きつけた理由の1つ。それぞれが相手を気づかいながら距離感を考えて寄り添う関係性はホームドラマの王道だった。
コロナ下を筆頭に、詐欺、自死、職業差別、いじめ、事故のトラウマ、働かない元夫などハードなテーマが多い。ただ、芸人を起用した常連客のやり取り、美しい神戸のロケーション、力強いエンディングダンスなどで脚本・演出のバランスが取れていた。後にもこんな時代もあったという記録ドラマ的な立ち位置になるかもしれない。
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ほか2作品の「推し」ドラマは、ロケーションジャパン121号(2024年1月15日発売号)で紹介しています。
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