『君の膵臓をたべたい』の縁の下の力持ち、福岡フィルムコミッションの協力体制
浜辺美波さんと北村匠海のダブル主演でも注目を集め、さらにドラマ『ダメな私に恋してください』映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』『君と100回目の恋』などの恋愛映画を次々とヒットさせてきた月川翔監督がメガホンをとった大ヒット作が映画『君の膵臓をたべたい』。
原作は住野よるの小説だが、当初は小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿された作品が見出され出版化。200万部を超えるベストセラーとなり、オーディオブック、漫画などのメディアミックスを経て実写映画化された。映画館で号泣する人が続出し、何度も映画館に足を運ぶばかりか、滋賀県、福岡県、福井県などロケ地へもファンが大勢訪れている。
作品の中で、印象に残るシーンは多いが、中でも浜辺さん演じる桜良と北村さん演じる「僕」が二人で福岡を旅するシーンも、読者にとっては強い印象を残している。
その撮影隊をサポートし、今もロケ地を訪れるファンへの対応を続けているのが福岡フィルムコミッションだ。
担当者に話を伺うと、ロケ地となった屋台『花山』では、「作品を観て来た」という旅行者や修学旅行生が増えており、国内はもとより海外からの来客にもつながっている。また、主人公二人が参拝した太宰府天満宮にも映画に関しての問合せが多く寄せられた、という。映画の世界を飛び出し、現地へとファンを誘う魅力的な映像の撮影の裏には、福岡フィルムコミッションの並々ならぬ努力と協力があった。
桜良と「僕」が川を眺めた福博であい橋(写真提供:福岡市)
映画には福岡独自の魅力として親しまれている屋台のシーンもあるが、福岡の屋台は条例等により営業可能な時間等が決められており、昼間は営業ができない。このため通常の営業している屋台での昼間のデートシーンの撮影はできず、別途、公園の撮影許可を取り、フィルムコミッション担当者含め、スタッフが総出で屋台を公園に運搬。大将の指示の下、屋台の組み立て・解体を行い、福岡のリアルな魅力を伝えられるよう尽力したという。
また、映画の見せ場ともなる豪華で優雅なホテルのロビー、部屋のシーンを撮影するため、福岡のランドマークタワーが映えるロケーションであるヒルトン福岡シーホークスへ協力を依頼。ゲストの多い人気ホテルのロビーは難易度が高いが、宿泊客の来訪が少なくなる深夜の時間帯で撮影許可をもらった。ホテル客としてエキストラを集め、屋台のシーンなどともあわせて200名の市民エキストラと共に、映画の撮影を支えた。
ヒルトン福岡シーホーク(写真提供:福岡市)
更にロケ地を訪れるファンのために配給会社と協力しキャストのビジュアルを盛り込んだロケ地マップを作成し、全国から送付希望の問合せが殺到した。ロケ地マップには同ホテルからなんと映画を見た方へのプレゼントとしてスイートルーム3室の提供を受けることができた。
韓国での映画公開が決まったときは福岡観光コンベンションビューローの協力を得て韓国語でのロケ地情報サイトを開設。また、近畿日本ツーリストと協力した「君の膵臓をたべたい」のロケ地ツアー「君と福岡へ行きたい」は関西、首都圏、中部、北陸から福岡への来訪者を後押ししている。また、ファンが、作品の世界観を楽しむことができるよう、ロケ情報の提供などロケ地巡りのサポートを継続している。
美味しいグルメや観光、また移住、サラリーマンの転勤希望先としても人気の高い福岡市。ぜひ一度、ロケ地マップ片手にそんな現地に足を運び、映画とともに地域の魅力を味わって欲しい。
作品の実写映像化では、ロケ地の魅力も映画の主役の一つとなる。その風景を生み出しているのは、現地の人々の暮らしやロケ隊への理解と協力体制に他ならない。『君の膵臓をたべたい』はそうした地元の力にも支えられ、大きな感動を生み出しているのかもしれない。
映画を通じて都市の魅力をPRする福岡フィルムコミッション、国内外から新たな地域とつながる作品を呼び込むため、日夜活動を続けている。今後の展開も注目したい。
『君の膵臓をたべたい』
監督:月川翔
キャスト:浜辺美波、北村匠海、大友花恋、
矢本悠馬、桜田通、森下大地、上地雄輔、北川景子、小栗旬 ほか
(C)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (C) 住野よる/双葉社
映画『君の膵臓をたべたい』ロケ地めぐり紹介サイト
https://yokanavi.com/feature/78211/