ドラマ解説者ならではの鑑賞ポイントで観る、
読者の属性にマッチングする、おすすめのドラマ3作品とそのポイントを解説します。
このコラムをきっかけに、運命の「推し」ドラマに出会えるかも。
今号のテーマ:北海道に旅に出たくなるドラマ3本
1作目:『牛に願いを Love&Farm』( 2007年、フジテレビ系)
倉本聰が富良野を舞台に「どう生きるか」を問う
Netflixで配信されている「First Love初恋」がジワジワと話題を集め、ロケ地観光客が増えてきているという。同作の舞台は北海道であり、「ロケ地に行ってみたい」と思った人も多いのではないか。今回はそんな北海道に旅したくなる3作をピックアップしていく。
1作目は『風のガーデン』(2008年、フジテレビ系)。物語の舞台は富良野、脚本を手がけるのは倉本聰…と聞けば誰もが『北の国から』を思い浮かべるだろう。当作も東京の大学病院で准教授を務める白鳥貞美(中井貴一)が末期がんを患い、絶縁状態となっていた富良野の家族の元へ帰る様子を描いたヒューマン作。かつて過ちを犯して勘当された貞美は、父・貞三(緒方拳)、娘・ルイ(黒木メイサ)と息子・岳(神木隆之介)との残り少ない日々をどう過ごすのか。「麻酔学会の権威で緩和医療のエキスパートだった貞美が、訪問医として死と向き合ってきた父・貞三に看取られる」という流れに涙を誘われる。美しく癒される風景をバックに、「どう生き、どう死んでいくか」という深く重いテーマを掘り下げていた。
映像で特筆すべきは、富良野の豊かな自然を映すために四季それぞれの季節で撮影されたこと。特に2年かけて作られたブリティッシュガーデンは鮮やかで、花の咲く季節になると新富良野プリンスホテル敷地内のロケ地を観光客が訪れるという。
中井貴一が9キロの減量を行って挑んだ力作であり、放送開始の4日前に亡くなった名優・緒形拳さんの遺作でもある。
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